実際に商品を手に取れないお客様に商品の魅力をアピールする重要な要素が「商品画像」です。
ネットショップ(ECサイト)での売上を大きく左右するといわれている商品画像は同じ商品であっても、商品の撮り方などで売上も変わります。
本記事では、商品画像の撮影するための準備や注意点、加工する際のポイントや必ず知っておきたい著作権の話などについてご紹介しています。
「色々施策しているのに売上が伸びないな」
「商品画像にはこだわったことがない」
そんな方にぜひ読んで頂きたい記事になっています。
それでは、本記事における「商品画像の考え方について」からお話しておきます。
「商品画像」の考え方について
商品画像という言葉の取り扱いは、人によって様々です。
商品一覧に表示されるような、1枚目に登録する画像のみを指すこともあれば、その他追加で登録する2枚目以降の画像も含めて指す場合もあります。
本記事では、2枚目以降の画像についても「商品画像」として捉えて説明をしています。
使用しているモールのガイドライン(指針)を確認する
楽天やAmazonなどのモールを利用している場合には、商品画像についてのルールも細かく決められています。
例えば、楽天市場であれば、商品画像1枚目のみガイドラインが適用されていて、主に以下のような内容が取り決められています。
- テキスト要素の占有率は20%以下
- 画像に枠線を付けない
- 背景は、白背景か写真背景
など
ガイドラインに対応するための画像は必須なので、商品画像について固めてしまう前に、必ず確認しておきましょう。
ステップ1:「商品画像」の撮影について
ただただ何も考えずに写真の枚数だけを増やしていても、大切な時間を無駄にしてしまうだけ。
撮影前の準備をしっかりとしておくことで、効率よく撮影を終わらせることができます。
それでは、準備しておきたい内容について詳しくお伝えしていきます。
商品画像を撮影する前に準備しておくこと
商品の特徴や伝えたいポイントを考える
取り扱う商品によって、伝えたい特徴や魅力は違うはず。
例えば、同じYシャツでも、襟のデザインにこだわっていたり、機能性の高い縫製に自信があったり、カラーバリエーションが豊富な場合など、商品ごとの違う特徴が考えられます。
そうした時に、すべてが同じような構図の写真ばかりでは、せっかくの商品の魅力が伝わりきりません。(ただし、商品のサイズ感なども伝えたい場合は、同じ構図での写真で伝えることもできます。)
まずは、商品ごとに伝えたい魅力や特徴(ポイント)を考えておきましょう。
特徴に応じて必要な写真を考えておく
商品の特徴を確認した上で、次にその特徴を踏まえた上で必要な写真について考えていきます。
説明文がなくても、商品の魅力が伝わるような写真を意識します。
また、以下の写真は特徴をアピールする写真のほかに最低限必要ですので、撮影しておきます。
- 白背景の写真(正面・上面・側面からのカット)
- 小物等含め、全体が写る写真
それでは、特徴をアピールする写真について考えていきます。
先ほど例でお伝えしたYシャツで考えてみると、以下のような写真が挙げられます。
(例)Yシャツ
- 襟のデザインにこだわっている→
襟のデザインをメインにした写真、襟のデザインを活かしたコーディネイト写真、企画段階のデザイン画を並べた写真 - 機能性の高い縫製に自信がある→
実際に着用して機能性をアピールしている写真、縫製している職人さんの写真 - カラーバリエーションが豊富→
カラバリを並べた写真、カラーごとにコーディネイトしている写真
など
「魅力が瞬時に伝わる」を合言葉に、必要な写真を考えていきます。
もし、使用しているモールのガイドラインで指定されている場合は、商品画像の2枚目以降や商品説明に挿入できないか考えてみましょう。
一番考えやすいのは、「自分がお客様だったら?」とお客様の立場で考えることですが、それが難しい場合には、以下のような商品写真の種類を踏まえて、どのような写真が必要か考えてみましょう。
商品画像の種類について
主な商品画像の種類についてご紹介します。
白背景写真
白背景に商品の全体が分かるように配置された画像です。
Amazonや楽天市場などで、見かけることが多いかと思います。
小物などで主役の商品が分かりづらくなってしまう恐れがなく、AIなどで類似商品を画像検索するような場合でもシステムが認識しやすいため、取り入れているショップが増えてきています。
イメージ写真
イメージ写真とは、商品を使用したときに得られる体験やどんな自分になれるのかをお客様に瞬時にイメージしてもらうための画像です。
ECサイト(ネットショップ)では商品を実際に手にすることができないため、商品を購入した後の自分を想像するのが困難です。
ですが、商品画像でいつ、誰が、どのように使うのかを表現することで、お客様は自然とその商品を購入した後の自分をイメージすることができます。
これを、「ベネフィット」といいますが、このベネフィットが商品画像では大切です。
そのイメージをしやすいように、小物やロケーションをコーディネイトしていきましょう。
ディティール写真
アパレルであれば、正面やバックスタイル、側面や、生地の質感、装飾品などが伝わる写真も必須です。
そのような、仕様や機能を伝えるための写真を「ディティール写真」といいます。
また、サイズ感を伝えたい場合には、体格の異なるスタッフに協力してもらい、着用時の写真や感想も写真に加えておきましょう。
(スタッフの方に協力してもらう場合、必ず掲載する内容に許可を得てから撮影をおこないましょう。)
情報の記載漏れに注意!「確認できない」が購入率低下の原因に。
商品画像の撮影で気をつけたいポイント
商品撮影をしていると撮影のことだけに集中してしまい、ついつい本質的な考え方を忘れてしまいがちになってしまいます。
あくまで「商品画像」のための撮影なので、以下のようなポイントに気をつけておきましょう。
撮影小物が商品の邪魔をしていないか
ベネフィットを伝えたい場合、商品以外にも小物を配置して写真を撮影するかと思います。
その時に、あくまでも商品が主役になるので、引き立て役となる小物や背景が目立ち過ぎていないか、カメラを通して確認しておきましょう。
カメラのレンズを通して見ることで、実際に撮影される写真に反映することができます。
肉眼でチェックした時は開放感のあった構図も、カメラを通して見ると窮屈に感じるようなこともあるので注意しましょう。
その商品を使っている(食べている)場面がイメージ出来るか
次に、写真を見て、その商品のシチュエーションがイメージできるかを考えておきましょう。
例えば、インスタント麺を高級なガラスの器に入れて、周りの小物もまるでヨーロッパのお城のようなインテリアでコーディネイトしている場合はどうでしょうか?
特別高級感を演出したい場合を除いて、よくあるシンプルな丼にきれいに盛り付けられた写真の方が、お客様は自分が食べる時のイメージをしやすいのではないかと思います。
また、一見使い方の分かりづらい便利グッズは使い方を画像で簡単に紹介するなど、商品の特徴に合わせてシチュエーションを考えてみましょう。
商品画像の撮影で大切なのは、カメラじゃなくて撮影環境
商品画像を撮影するために、一眼レフの購入を検討していませんか?
もちろん一眼レフがあれば雰囲気のある写真などを撮影することができますが、ボディとレンズで数万円ずつ、またお手入れなどの手間もかかってきます。
そのため予算などで難しい場合は、無理して一眼レフを購入する前に、スマホで撮影する際の撮影環境を整えてみましょう。
撮影環境を整えるアイテム
- 照明(1万円程度)
- 撮影ボックス(1万円前後)
- 三脚(5千円前後)
照明
一般的にLEDや蛍光灯が主流です。
実際に使用する際には、ディフューザーと呼ばれる光を拡散するためのアイテムと合わせて光の強さを調節します。
照明を上手くコントロールしてきれいに撮影するためには、撮影する室内のカーテンを閉めて、室内灯は消しておきましょう。
撮影ボックス
白い薄い布に囲まれた自立式のボックスです。
前面以外を囲むことで、周りの余計なものの映り込みを防いで、きれいな写真を撮ることができます。
三脚
手ブレを起こさないようスマホを固定するために使用します。
撮影角度を固定することで、写真の統一感も出るためお客様が自店の商品一覧を見た時に、ストレス無く見てもらえます。
スマホとカメラどちらも対応しているものや、Bluetoothでシャッターをきれるリモコンが付いている三脚など様々な商品があるので、自身の撮影スタイルにあったものを購入しましょう。
ステップ2:「商品画像」を作成する
ここからは、写真撮影を終えて、実際に商品画像の作成に入っていきます。
まずはガイドラインなどのルールを再確認をしてから、商品画像の加工へ移っていきます。
再び、使用しているサービスのガイドライン(指針)を確認する
ここで、改めて使用しているサービスのガイドラインを確認しておきましょう。
画像を作成した後に気づいて修正すると、余計な時間がかかってしまします。
テキストの占有率や、背景の指定、1枚目のみのルールなのかすべての商品画像についてのルールなのか、画像作成するスタッフ全員で情報を共有しておきましょう。
スマホに最適化するならシンプルに
スマホで見る時に、拡大しないと詳細が確認できないような画像はお客様にとって負担がかかります。
出来る限りシンプルな構成にし、スクロールして見る場合にも見やすい画像を意識しましょう。
商品画像をPhotoshopで補正する
撮影のプロでない限り、納得できる写真を撮ることは困難です。
そこで必要となってくるのが、「写真補正(画像補正)」です。
補正などをすることで、写真レベルを高めることができます。
写真補正の参考例
例として補正前の写真と補正後の写真をご紹介します。
<補正前>
<補正後>
比べて見るといかがでしょうか。
少し暗い印象だったぬいぐるみが明るい雰囲気になりました。
これだけでも、伝わる印象がだいぶ変わってくると思います。
今回の補正には、Photoshop(フォトショップ)という写真編集ソフトを使っています。
ちなみに、補正後の写真には以下のような補正内容が施されています。
- レベル補正の調節
- トーンカーブの調節
- 明るさコントラストの調節
- 影を少し取り除く調節
- 若干くっきり見せる調節
Photoshopは、無料で試せる期間があるので興味がある方は一度利用してみてください。
また、無料の写真編集ソフトといえば手軽に使える「GIMP」「fotor」なども有名です。
Photoshopの機能には劣る部分もありますが、切り取りや簡単な補正などは無料ソフトでも可能ですので、予算によって検討してみても良いと思います。
最低限知っておきたい「商品画像」の著作権について
商品画像を作成する際に注意したいのが、自身で撮影した写真以外を使用する場合です。
インターネット上に公開されている画像は著作権について特別なライセンス事項が表記されていなくても、「著作権」で保護されています。
そのため、自分の使用したい用途で使えるのか、著作権に関するライセンスなどの確認を必ずおこなっておきましょう。
ライセンスの表記がない場合は、直接メーカーに問い合わせてみましょう。
以下のような形で、商品画像を作成・利用している方は著作権を侵害してしまう可能性もあるので要注意です。
- 仕入先メーカーのホームページの写真を無断で使用している。
- ライバルショップの商品画像を無断で使用した。
- メーカーのロゴを無断で使用している。
- ライセンス表記のないフリー素材を加工した。
著作権侵害をしていると、著作権者から訴えられてしまうこともあります。
「みんなしているから」は無断使用して良い理由にはなりませんので、自分の目でライセンスについて確認しておきましょう。
みんなも悩んでいる商品画像の著作権
上記のようなことを書くと「訴えられるのが怖い」と怖がってしまう方もいるかもしれませんが、ちゃんとライセンスで許容されている範囲での使用は問題ありませんのでどんどん活用していきましょう。
弁護士の方に相談ができる「弁護士ドットコム」というサイトでは、商品画像の著作権に関する相談が300件以上寄せられています。
自分の写真の使用方法が正しいかどうか、実際にショップを運営されている方の悩みに弁護士の方が回答されているので、参考情報として目を通しておくのも良いかもしれません。
>【弁護士が回答】「商品画像 著作権」の相談314件 – 弁護士ドットコム
こんな時は商品画像の外注やサービスの活用も視野に入れて
ここまで、商品画像の撮影や加工方法など自分たちで画像を作成する方法をお伝えしてきましたが、以下のような場合には、外注などのサービスを検討してみるのも1つです。
- ジュエリーなど撮影が難しい商品
- 毎月大量に商品入れ替えが発生するお店
- ずっと販売していく定番商品
- モデルを使用したロケーション写真
無理に自分たちだけで進めようとするより、プロにお願いしたり、サービスを利用した方がコストがかからない場合もあります。
自分たちの商品が上記に当てはまる場合は検討してみてください。
それでは、実際に撮影をしてくれるサービスや商品画像を簡単に加工できるツールなどをご紹介します。
商品画像を撮影してくれるサービス
おまかせWEB商品撮影サービス

プロカメラマンが出張撮影を行ってくれる撮影サービスで、2009年のサービス開始以来、4000店舗を超えるショップ向けの商品画像撮影の実績もある人気サービスです。
背景白加工有り・無し、アイロン掛けなどのオプションやモデル撮影など様々なプランが用意されています。
トルソーは無料で選ぶこともできるので、アパレル関連の商品を販売されている方には嬉しいサービスですね。
また、撮影だけでなく、複数写真を組み合わせた商品画像の加工もされているので、商品画像については全部おまかせしたい!という時にも安心です。
ecサイト・ネットショップの商品撮影 |物撮り | 撮影代行
株式会社バーチャルインの商品撮影は、背景白で1カット300円とお安い価格で提供されています。
ハンガー撮影や全身マネキン撮影やモデル撮影など、様々なプランがあるのも活用したいポイントですが、一番の特徴は「無料撮影サンプル」です。
商品を送り、撮影後に撮影のサンプル画像を確認し、正式に発注するかどうかを決めることができます。
掲載されているサンプル写真を見ても、自分の商品がどのような写真になるのか不安を感じている方は、こちらのサービスを活用してみてください。
次に、撮影は自分たちで出来るけど、商品画像用に加工する時間がない。という方にご紹介したい画像加工サービスをご紹介します。
商品画像を加工できるサービス
ZenFotomatic

1クリックで、画像切り抜き・画像白抜き・背景除去・センタリング・色彩補正・サイズ補正などが完了してしまう、便利ツール。
ドラッグアンドドロップで写真をアップロードすることが出来る簡単操作で、1枚あたり約3秒で白背景のきれいな画像に加工できます。
また、初期費用もかからず、加工後の出来上がりに満足した写真のみ課金されるシステムで、分かりやすいのもポイントです。
remove.bg

簡単に切り抜きして、背景を透過することが出来る自動ツールです。
基本的に無料で使用することができます。
こちらは、AIが判断して透過してくれるというツールで、ドラッグアンドドロップで約5秒以内で切り抜きすることが可能です。
白背景の商品画像をさくっと作成したい時に活用してみてください。
最後に
今回は、写真撮影のポイント、加工、サービス紹介と大きく3つに分けてネットショップにおける商品画像のレベルを上げる方法についてお話しました。
まずは、商品の特徴や魅力を考えそれをアピールできる写真を撮る。
そして、スマホでも見やすいシンプルな写真に加工することが大きな流れでした。
また、自分たちでの撮影が難しい場合は、無理をせず外注で依頼してみるのもひとつの手です。
上記でご紹介したサービス以外にもココナラといったクラウドソーシングでも商品撮影を受けてくれる方がいるので、予算に合わせて選んでみるとよいかもしれません。
売上が伸び悩んでいるという方は、本記事を参考に商品画像のレベルアップをして、お客様に安心して購入してもらえる商品ページを作りあげましょう。
商品ページの作り方については、以下ページをご参考ください。